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主題
楽譜を準備する(購入・レンタル・著作権)
1
楽譜の入手は曲の性格で決まる
2
レンタル楽譜の借り方
3
委嘱・編曲で自前に楽譜を用意するとき
4
楽譜の質と版を確かめる
5
著作権の手続きは要否を見極める
楽譜の入手は曲の性格で決まる
演奏する曲が決まると、その楽譜をどう用意するかは、曲の性格によっておおむね決まります。著作権が切れた古典なら、市販譜を購入するか、IMSLP(パブリックドメインの楽譜を集めた無料の電子図書館)から各パートをダウンロードして使うのが一般的です。著作権が存続する作品や大編成の作品は出版社からのレンタルに限られることが多く、新作を演奏したいなら作曲者への委嘱、ゲームやアニメの楽曲のように市販のオーケストラ譜がないものは、権利者の許諾を得て編曲し自前で用意することになります。入手方法は自由に選ぶというより、曲ごとにどの経路になるかを見極める作業です。経路によって費用も日程も準備の手間も変わるため、曲決めの段階で各曲の入手経路を確認しておきます。
- 著作権切れの古典:市販譜の購入、またはIMSLPからの無料ダウンロード
- 著作権が存続・大編成:レンタルに限られることが多い
- 新作を演奏したい:作曲者への委嘱
- 市販譜のない既存曲(ゲーム・アニメ等):許諾を得て編曲し自前で用意
- 入手経路は曲ごとに決まる。曲決めの段階で各曲の経路を確認する
レンタル楽譜の借り方
レンタル楽譜は、全音楽譜出版社やショット・ミュージックなどの出版社・代理店を通して借ります。問い合わせの際は、作曲者名、作品名、版元、演奏団体名、演奏日程、演奏回数を伝えると、取り扱いの有無、在庫、納品時期、料金が回答されます。なお、アマチュアオーケストラ向けには、JAO(日本アマチュアオーケストラ連盟)が運営するJAOミュージックライブラリーのように、楽譜を無料で貸し出すサービスもあります。JAOの会員でなくても利用でき、市民オーケストラから学校のオーケストラまで幅広く使われているため、費用を抑えたい場合はまず取り扱い曲目を確認してみる価値があります。
- 問い合わせには曲名・版元・演奏日程・回数を添える
- 在庫と納品時期を早めに押さえる
- 練習開始に間に合うよう余裕をもって手配する
- 返却期限と返却方法、紛失時の扱いを確認する
- JAOミュージックライブラリーなど、会員外も使える無料貸出も選択肢に入れる
委嘱・編曲で自前に楽譜を用意するとき
新作の委嘱や、既存曲を編曲して演奏する場合は、楽譜を自分たちで用意することになります。委嘱では、作曲者と編成・演奏時間・納期・費用・著作権の扱いを取り決めます。既存曲の編曲では、まず原曲の権利者から編曲(翻案)の許諾を得る必要があり、JASRACの演奏手続きとは別に、編曲そのものの許可が要る点に注意します。ゲームやアニメの楽曲のように人気のある曲は、許諾の可否や条件が権利者によって異なるため、早めに確認します。自前で用意する楽譜は、市販の浄書済みの譜面と違い、演奏しやすさや記譜の正確さを自分たちで担保しなければならないため、次の査読が重要になります。
- 委嘱は編成・演奏時間・納期・費用・著作権の扱いを取り決める
- 既存曲の編曲は、原曲の権利者から編曲(翻案)の許諾を得る
- 編曲の許可は、JASRACの演奏手続きとは別に必要になる
- 人気曲は許諾の可否・条件が権利者で異なるため早めに確認する
- 自前の楽譜は、演奏しやすさと正確さを自分たちで担保する
楽譜の質と版を確かめる
楽譜は手に入れば終わりではなく、中身を確かめる工程が要ります。クラシックの市販譜は浄書済みでそのまま使えることがほとんどですが、出版社によって質に差があり、記譜に誤りが含まれることも珍しくありません。新作や編曲では、パート譜が演奏しやすく書かれているか、複数の編曲者が関わる場合は記譜の作法や流儀が揃っているかを査読し、必要なら浄書を依頼します。どの楽譜でも、スコアとパート譜を突き合わせて食い違いがないかを確認しておくと、合奏でのつまずきを減らせます。特に既存のクラシック曲では、指揮者のスコアとパート譜で版が違うことがあり、版の差異は合奏の混乱のもとになります。IMSLPなどから無料でダウンロードした譜面は、古い版だったり複数の版が混在していたりすることがあるため、指揮者のスコアと版が合っているかを特に確認します。やむを得ず差異のあるまま演奏する場合は、異なる箇所を事前に整理して関係者へ共有しておきます。
- クラシックの市販譜は浄書済みが多いが、記譜の誤りは珍しくない
- 新作・編曲はパート譜の演奏しやすさを査読し、必要なら浄書を依頼する
- 複数の編曲者が関わる場合は、記譜の作法・流儀の統一を確認する
- スコアとパート譜を突き合わせ、食い違いがないか確認する
- 既存曲は指揮者スコアとパート譜の版の差異を確認する
- IMSLP等のダウンロード譜は版が古い・混在しがち。指揮者スコアと版を合わせる
- 差異が残る場合は、異なる箇所を事前に整理して共有する
著作権の手続きは要否を見極める
演奏する曲に著作権が残っている場合、原則としてJASRACなどへの手続きが必要です。ただし著作権法第38条第1項により、営利を目的としない・入場料等を受けない・出演者に報酬を支払わないの3つをすべて満たす演奏は、演奏そのものに許諾も使用料も要りません。アマチュアの入場無料コンサートはこれに当たることが多い一方、プロのソリストに報酬を払う、入場料を取るなど一つでも外れると手続きが必要です。注意したいのは、この免除が原曲をそのまま「演奏」する場合に限られることです。著作権の残る曲を編曲して演奏会で公開するなら、3条件を満たしていても、原曲の権利者から編曲(翻案)の許諾を別に得る必要があります。また、曲が本当に著作権切れかの判断(保護期間や戦時加算)や、録音・配信・CD化の権利処理も別の話です。詳しくは、保護期間のガイドと録音・配信のガイドをあわせて確認してください。
- 3条件(非営利・無料・無報酬)を満たせば、原曲をそのまま演奏する分には手続き不要
- 報酬の支払いや有料公演など、一つでも外れると手続きが必要
- 著作権の残る曲を編曲して公開するなら、3条件を満たしても編曲(翻案)の許諾が別に必要
- 免除は「演奏」だけ。録音・配信・CD化は別の権利処理が要る
- 曲が著作権切れかの判断は、保護期間・戦時加算のガイドを参照
- IMSLP等は海外基準でPD公開のため、日本での保護期間(戦時加算)は別に確認する
パート譜を管理する
楽譜は手に入れて終わりではなく、本番までの管理が運営の手間になります。弦楽器のボウイングは、各パートのトップ奏者が決め、第1ヴァイオリンはコンサートマスターが決めるのが一般的です。決めたボウイングや書き込みをどの譜面に反映し、誰に何を渡したかを記録しておかないと、練習や返却で混乱します。特にレンタル譜は扱いの条件が借り先によってまちまちで、ここが地味に手間のかかるところです。コピーして配ってよい場合もあれば、原譜のみで書き込みは鉛筆に限り、返却時に消す必要がある場合もあります。返却の仕方も、原譜だけを回収する、コピーも含めてすべて返却する、すべて破棄するなど様々なので、借りる時点で条件を確認し、配布前に団内へ共有しておきます。
- 弦のボウイングは各パートのトップ、第1ヴァイオリンはコンサートマスターが決める
- トップが決めたボウイングを、パート全員が自分の譜面に書き写して揃える
- 誰にどの楽譜を配布したかを記録する
- レンタル譜はコピー可か原譜のみかを確認する(書き込みは鉛筆で)
- 原譜のみの場合、返却時に書き込みを消すか、そのままでよいかを確認する
- 返却方法(原譜回収/コピー含め全返却/全破棄)は借り先で異なる
- 紛失・破損時の連絡と費用負担の取り決め